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寒山拾得 知らなかった

井伏鱒二の短編集を読みました。
その中には、中学校の教科書に載っていた「山椒魚」もありました。
そうです。あの岩の中に入ってじっとしていたら体が大きくなって岩の中に閉じ込められたあの山椒魚の物語です。自由な蛙との会話が巧妙に書かれています。

その短編集の中に「寒山拾得」という表題のものが含まれていました。寒山はカンザンと読めたのですが拾得は拾得物というものがあるくらいだからシュウトクと読んでいました。

短編を読んで、寒山拾得とは水墨画の軸のことらしいことが分かりました。

読み終えた後、日本の美術全集の水墨画を探してみると、果たして寒山拾得図は水墨画の世界ではきわめてポピュラーなもので、たくさんの画家が寒山拾得を描いているのです。

しかも「カンザンジットク」と読むのです。
寒山さんと拾得さんの二人を描いたもので、彼らは唐の時代の天台宗の修行僧ということらしいのです。寒山さんはお経を手に持ち、拾得さんは箒を持っていて、ふたりともげらげらと笑っています。何もかも知り尽くして悟った人間は寒山さんと拾得さんのように何も思うことなく、ただげらげらと笑うようになるのかもしれない。

ほんとうに無邪気で、いい水墨画です。いろんな人が書いているけど、どれもいいものです。
是非、見てもらいたいものです。

寒山拾得と言う言葉を広辞苑で調べてみました。ちゃんと載っているではありませんか。
森鴎外の作品にも「寒山拾得」というものがあるらしいのです。

55年も生きているのに、こんなことも知らないなんて。
知らないことはたくさんあるものだ。

っていうか、知っていることは世の中のほんの一部のことなのだと、改めて実感しました。
寒山さんや拾得さんのように悟りを開いて、げらげらと笑うようになれればいいのに。

「寒山拾得」、この水墨画を一度見てください。

なに?そんなこととっくの昔に知ってる?知らないのはお前だけだ?
そんなこと、たくさんあるかもしれません。

by kanmoto | 2008-09-04 23:59  

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